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2024.1.15

TREES発のアートプロジェクトを通じて、幸せな感性の循環をつくりたい

アパレルのポップアップや展示会・ワークショップなど、暮らしにまつわるイベントを行うことの多かった中目黒のスペース・TREES studio&marketですが、これからは1年に数回ほど、自主企画のアートイベントを開催することになりました。
「“TOKYO CITY POP”gallery project」と題したこのイベントは、若手アーティストを起用したアートプロジェクトを得意とする「かまちかや」主宰・鎌倉知香さんによるプロデュースで様々なアーティストをご紹介していく予定です。目黒川沿いにあり、ライフスタイルを大切にする品々を扱う、この場所にぴったりな、「アートとの出会い」はどんなものなのでしょうか。

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中目黒という場所で、暮らしに寄り添うアートを発信する

「学生時代からクリエイティブなものが好きで、アートのほかにも文芸、演劇など様々な創作・表現が大好きでした」と語る鎌倉知香さん。
日本を代表する音楽イベントや、大規模アートプロジェクトに携わるなど、アートを軸にしたお仕事をされています。
イベントの企画、運営を行う会社「かまちかや」を2018年に立ち上げた、女性リーダーでもあります。
実はここ、TREES studio&marketも同じく女性代表の集団です。鎌倉さんとTREES 代表が前職でお仕事をした関係から、TREESという場所を更に成長させていくためのプロジェクトをこの度、引き受けていただくことになりました。

「”TOKYO CITY POP”gallery project」と題したこちらのイベントは、2023年12月に第1回目の展示が行われ、盛況のうちに終了しました。次回は、2024年5月を予定しているということで、今後、どのようなプロジェクトにしていきたいのかを、第1回のアーティスト・そで山かほ子さんの展示準備真っ只中の鎌倉さんにお伺いしました。

「ポップなものも、大人っぽいものも、どちらも同居できてしまえるのが東京の素晴らしさだと思っています。
『暮らし』と『都市』がうまく同居している中目黒という場所からアートを発信するのであれば、私はその『生活』と同居できるアートをピックアップしたいと思いました。
今回のアーティスト・そで山かほ子さんには、イラストレーションだけではなく、1点ものの花瓶や壁にかけるアートなど、お家で楽しむことを前提とした作品を展示していただきました」

「感性を磨くこと」は、実はいつでも、誰にでも開かれている

「私たちは、お洋服でも住まいでも、お金をかければ手軽に便利で素敵なものが手に入る東京に生きています。
でも、実は、感性を磨けばお金を沢山かけなくても、充分に楽しめますよね。ギャラリーを覗いてみたり、美しい建物を見るだけでも。
私は、自分の携わるプロジェクトでは誰にでも、そんな『感性のアップデート』ができるような機会が作れたらと思っています」と鎌倉さん。

今回の展示も、作品にお花が挿せたり、壁にブローチをつけるように飾れる素敵な作品を数多く展示していました。
インバウンドなどで観光に来た国外の方や、ご近所にお住まいの方、誰もが入りやすく持ち帰りやすい様子だったのが印象的です。

「それぞれの価格帯も、ちょっといいワンピースをえいやっ、と買うぐらいで手に届く作品ばかりなんですよ。学生時代の私も、初めはアートってすごくハードルが高いと思っていました。でも、大好きな作家さんの気になる作品を、それこそ『えいやっ』と思って買ったことがあって。それから、どんどんアートの世界にハマっていった気がします」

「アートに触れる、持ち帰る」最初の一歩を、ぜひ、
TREES studio&marketから

「この”TOKYO CITY POP”gallery projectでは、『アートってなんだか素敵だけど、どうやって取り入れたらいいかわからない』という気持ちのハードルを少しでも下げられたら嬉しいなと思っています。
実は日本の美術館は近ごろ、若いお客さんが増えているそうです。そんな若い方にはもちろん、『自分には、まだアートなんて』という大人の方にこそ、このプロジェクトが届けば嬉しいですね。

『感性を届ける』って、クリエイターがものづくりをするだけでは広がりづらくて、クリエイターだけでなく、私みたいに届けようと思う人がいて、もちろんクライアントもいて、PRする人もいて…と、たくさんの人が関わってうまく循環するからこそ、その素敵な感性が広がるのだと思っています。
アーティスト以外のスタッフも、『自分は裏方だから』といってアーティストだけを頑張らせてもダメで、関わる皆がクリエイティブの理解や感性を持っていることが重要だと考えています。

だからこそ、アートに触れることを身近に感じ、楽しんでもらうきっかけがこの世の中に少しでもたくさんあればいい。本当は誰でもギャラリーや美術館に入っていいし、買っていいし、なんなら、作ったっていいんです。

…だけど、本当に、最初はハードルが高いですよね(笑)。だからこそ、美しいものを『いいね』って言い合える、そんな感性を磨く『きっかけ』がTREESみたいな場所にあったら素敵だな、って思って、このプロジェクトを運営しています。

「かわいい」「かっこいい」も楽しむポップな気持ちを生み出したい

「それに、クリエイター自身も、ちゃんと評価されて正当な対価をもらって、幸せな創作が続けられたらいいな、ということも考えています」と鎌倉さん。
ニューヨークに住み、最先端のアートシーンに触れた後に日本へ帰国して鎌倉さんが思ったことは、日本にもっときちんと才能を発信する場づくりの必要性と、「良いアーティストに、正当な良い評価をたくさんフィードバックしたい」ということだったそうです。

「先程もお話しましたが、感性を発信するクリエイター側も、届ける裏方のチームも、受け取る側のお客さんも、もっとたくさんコミュニケーションをとって、新しい感性が生まれたらいいな。私自身、かわいいものもかっこいいものも大好きです。そんな『街』で生まれる『ポップさ』を、このTREES発のプロジェクトでたくさん発信していきたいです。私たちも刺激を受けながら、お客さんたちも楽しんでいただきながら、創作をとりまく幸せな循環が増えたらいいなと考えています」

かまちかや
https://www.kamachikaya.com/
IG: @kamachikaya

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